PISA Periodontal inflamed surface area
そのまま訳すと「歯周炎症表面積」
歯周組織の炎症表面積
歯周炎によって炎症を起こしている歯周組織の表面積
歯周病の評価としては
・PPD(歯周ポケットの深さ)
・BOP(出血)
・アタッチメントレベル
など、様々なものがありますがPISAは最近注目されている新しい指標になります。
目次
歯周病が全身の病気に関係している
歯周病は「歯ぐきだけの病気」と思われがちですが、実はそうではありません。
歯ぐきで炎症が続くと、その炎症は全身へと広がってしまいます。
そのため、歯周病は「全身の病気にも影響する“炎症性疾患”」と考えられています。
歯周病と全身疾患の関係性
最近の研究では、歯周病は
- 糖尿病
- 心筋梗塞・脳梗塞
- 高血圧
- 妊娠トラブル(早産)
など、さまざまな病気と関係していることが分かってきました。
お口の中の炎症が強いほど、体にも影響が出やすくなると考えられています。
身体の入り口であるお口で炎症(歯肉からの出血)があるような状態では、全身に悪いような気がしますよね。
炎症性疾患である歯周病をPISAで評価する
PISAは、
歯周病で“どれくらいの範囲に炎症があるか”を表す指標です。
「何mmのポケットが何箇所ありますよ」とか「出血部位が何%です]という説明より、歯周病を全体の炎症量として示すことができるので、患者さんには分かりやすいのではないでしょうか。
CAL(臨床的アタッチメントレベル)、歯肉退縮量、BOPの値から炎症の面積を求めることができます。
歯周病学会のホームページに詳しいことが記載されています。
こういった指標があれば、治療の前後でどの程度炎症が改善されたのか分かりやすいですね!
重度歯周炎の場合は手のひらの面積の範囲で炎症がある場合もあります。そう考えると歯周病も怖い病気に感じるでしょう。

歯周病と糖尿病の悪循環
歯周病があると、血糖値が下がりにくくなったり、
糖尿病のコントロールが難しくなることが分かっています。
逆に、糖尿病があると歯周病も悪化しやすいので、
歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を与え合う「悪循環」になりやすい病気です。
歯周病の状態が改善することで、HbA1cが改善することが報告されています。
糖尿病治療ガイドラインには、歯周病治療をおこなうことが明記されています。
医科と共通の視点で歯周病を捉えるために
炎症の指標といえば
病院では、CRPやサイトカインなどの炎症の指標を血液検査で確認するのが一般的です。
しかし歯科では、BOPやプロービング値といった歯科特有の指標しか使われていません。
そこで役立つのが PISA です。
PISAは、歯周病で起きている“炎症の量”を面積として表すことができ、
歯ぐきの炎症状態をとても分かりやすく評価できます。
歯周病を炎症の量でとらえることで、
「歯周病は全身にも影響する炎症性疾患である」という理解が
社会にもっと広がっていくと良いですね。
歯科にも炎症の概念を
お口の中で起こる歯周病は、どうしても
「歯石取り」や「歯の掃除」といった治療のイメージだけで捉えられがちです。
しかし実際には、細菌によって引き起こされる慢性の炎症性疾患です。
歯ぐきの奥で続く炎症は、血液を通じて体全体にも影響を与えます。
だからこそ、お口の状態をきちんと管理することは、全身の炎症を抑えることにもつながるということを、ぜひ知っていただきたいのです。
まとめ
歯周病は、体全体に影響する“慢性炎症”です。
その炎症の多くは、歯と歯の間(歯間部)から始まります。
毎日の歯間ブラシ習慣で、
PISA(炎症の量)を少しずつ減らしていくことが、全身の健康にもつながります。

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