歯間ブラシそこ通すんですか!?

歯周病は歯肉炎歯肉だけの炎症)歯周炎(アッタッチメントの喪失、骨が失われ始めている)に分けられます。歯肉炎は歯磨きのみで歯肉の状態を元に戻すことができますが、歯周炎の状態へと進行し骨に影響がいってしまうと元に戻すことはできません。

その歯周炎が奥歯で特に進行してしまうと根分岐部病変という状態を引き起こしてしまいます…

歯間ブラシを使って根分岐部病変から歯を守る方法

根分岐部病変って何?

根分岐部病変というのは、骨が溶けることで奥歯の根っこの分岐部が外に出てきてしまった状態です。

こうなってしまうと歯ブラシのみの清掃では行き届かず、どんどん歯周病が進行してしまいます。

歯医者さん界隈ではLindheの分類という根分岐部の評価が有名です。歯学部のテストでもよく問われるところですね。

分岐部の骨の喪失が1/3未満か、1/3以上か、完全に骨が喪失しているかの3段階で評価します。

上記動画のように歯肉の状態、歯周病の進行具合の評価にはプローブという1mm刻みのメモリがついた器具で丁寧に探っていきます。

2024年11月26日 | 歯間ブラシの歯医者さん
根分岐部病変は歯間ブラシで治す!/

治療法について教えて

まず言えるのは重度、つまり根分岐部の骨が無くなってしまうと元に戻すことは完全にできません。

しかしその場合は、歯を2つに分割するルートセパレーションヘミセクションという方法が残されている場合があります。

しかしこれは歯に痛みがある場合や、ブラッシングが困難な場合に行う治療ですから、特に症状がなければ歯間ブラシを通すことを最優先します。

中程度の根分岐部病変がある場合は、再生療法(GTR法)が適応になることもあります。

根分岐部の骨の状態を改善することで、歯の予後が改善するという研究もあります。

根分岐部の診断、治療法はとても複雑で難しいです。

ですが、私は手術をするにしろ、しないにしろまずは根分岐部に歯間ブラシを通すことを重視しています。

患者さんは「え?ここ通すの!?」となることが多いですが、すぐに状態は改善していきます。

最初は出血が多くびっくりすることもあるかもしれませんが、1週間もすれば出血は改善し腫れる感じがあった方も症状がなくなることが多いです。

根分岐部の歯間ブラシが一番パワーを感じます!

歯間ブラシを通すと出血するけど歯茎を傷つけていないのか心配?

この質問一番多いです。

「歯茎から出血させるのは良くない」

「歯間ブラシで出血するのが怖い」

「出血するということは歯茎を傷つけているのではないか」

「歯茎から血を出したくない」

「血が出て歯茎が下がりそう」

私は毎日こんな質問を患者さんから受けています。

心配ありません。血が出ても歯間ブラシを続けてくださいと伝えます。

まず大前提として、健康な歯肉は歯ブラシ、歯間ブラシが当たっただけでは出血しません!

歯間ブラシが当たっただけで出血するということは歯肉に炎症があるのです。

なぜ炎症があるのか?プラーク(歯垢)がそこに存在しているからです。

やることは1つ。歯間ブラシを使ってプラークを取りましょう!炎症も出血も無くなります。

根分岐部病変の予防法

根分岐部を予防するのにまず大切なのは早期発見です。方法はプローブを使い定期的なチェックを受け続けるのが重要です。

私はこの歯周検査(プロービング検査)を一番大切にしています。

そしてもし根分岐部病変があれば早期の対応(歯磨きの改善、歯間ブラシの使い方)が必要です。重度になってしまうと歯の寿命は短くなってしまいます。

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