サルデーニャ島はイタリアの西、地中海の中央にある日本の四国ほどの大きさの島です。人口は約165万です。州都であるカリャリに行ってきました。ミラノから飛行機で1時間30分です。
海が綺麗な街でのんびりとした雰囲気を感じます。魚からフルーツまで食材はどれも新鮮です。
サルデーニャ島の方達は陽気なイタリア人の中でもさらに陽気な印象でした。
Gabriele Caruso先生のクリニック
Gabriele Caruso先生のクリニックはカリャリの中心地にあります。
イタリアらしい建物の2階にあります。窓からの眺めが心地よかったです。
ここも全て個室の診療室でした。新しいわけではないですが、広くて清潔感のある診療室です。2日間見学させていただきました。
日本でも最近導入するクリニックが増えていますがスイスEMS社のエアフローが置いてありました。イタリアでも最近流行っているそうです。機械からパウダーが出て歯のメインテナンスをします。男性の歯科衛生士さんがいました。日本でも男性の歯科衛生士が少しいますが、イタリアでも男性の歯科衛生士は珍しいそうです。メインテナンスの患者さんも来院されていて治療前の会話がとても楽しそうです。
私と同世代の歯科医師も勤務しており、海外の同世代の診療を見ることができたのは良い刺激になりました。
イタリアの歯科医院は日本よりもまったりしています。特にイタリアの方はお話が好きなようで…ずっと話しています。スタッフも先生も楽しそうで、治療が始まる前にまずは握手して世間話するのが定番の流れでした。
しかし歯科治療の精度は高く、アシスタントのレベルも高かったです。
バイオタイプインプラント
Gabriele Caruso先生は“Biotype Implant”というインプラントを10年程前に提案されていて、そのコンセプトを2日間の見学で見せていただきました。インプラントの形、被せ物の形を工夫することで歯肉の手術をせずに良い歯肉の状態を維持するというようなイメージです。このコンセプトはインプラントだけでなく、天然歯にも応用できます。手術は可能な限り避けたいですからね。
今年のEAO(ヨーロッパインプラント学会)でこれまで治療してきた10年経過の論文を発表するらしく、今後注目される治療法なのかなと思います。歯科治療は長期間の良好な経過があってこそ良い治療と言えます。
このコンセプトを直接見せていただけたのは素晴らしい勉強になりました。
また現在オリジナルのインプラントを開発中らしく、設計図も見せていただきました。ここまで歯科治療を考え続ける先生を尊敬します。
イタリアの歯医者さんを見学した感想
イタリアのリミニ、サルデー二ャ島の歯医者さんを見学できたのは良い経験です。
イタリアの歯医者さんを見学したシンプルな感想は
治療費が高い 一日に見る患者が少ない 歯科治療のレベルが高い
最近、日本の保険診療の歯科治療は良くないというような発信を見かけることがあります。確かに保険適応の銀歯やCADCAM冠(保険の白い歯)は自由診療のセラミックに比べてクオリティーは落ちます。それに一般的に日本の歯医者さんの方が一日に見る患者さんの数が多いので少しバタバタしていることもあるかもしれません。
しかしイタリアと日本では医療制度や社会保障制度など患者さんの背景が全く違います。
確かに日本の保険歯科治療は最高クオリティーの歯科治療では無いかもしれません。しかしそれなりの金額でいつでも自分で歯科医院を選んで歯科治療を受けることができます。イタリアは定期検診の費用も高いですが、日本は気軽に通うことができます。
銀歯が原因で全てのムシ歯ができるわけではありません…
もしより良い治療を希望すれば自由診療を受けることもできます。
日本の歯科治療を平均するともしかしたらイタリアに比べて治療精度が低いかもしれません。しかし日本の歯科医療制度は素晴らしいです。こんなに歯科医療を受けやすい国は日本だけかもしれません。
数日前から歯が痛い30代の患者さんが来院されていました。レントゲンでは虫歯がたくさんあって、神経を抜く必要がある歯が3本ありました。イタリアでは治療費が高額ですから、その日に治療をするわけではなく治療費の見積もりと治療の説明がその日にあります。
おそらく100万円ほどの見積もりになっていたと思います。治療費を見た患者さんはため息をついていました。神経の治療をするお金を用意できなければ抜くしかありません。イタリアではその抜歯も高いですが…
日本の歯科治療を部分的に見れば確かに悪い面はあります。しかし日本の歯科医療を全体として見れば素晴らしい制度です。
正しい歯磨き・歯の知識を患者さんに持ってもらうことができれば、日本の歯科医療制度はもっと良いと世界中から言われるのではないでしょうか。
コメント